Last Update: 7 Dec 2007
  更新履歴
超伝導磁石搭載回折計 (KEK-PF BL3A)
 マニュアル(2007年12月版)
東北大学多元物質科学研究所 有馬孝尚
 このマニュアルについて 
BL-3Aで行う磁場中放射光回折実験のためのマニュアルです。
実験の助けになるとは思いますが、残念ながら完璧なマニュアルではありません。
不明な部分は、ビームライン担当者に聞いてください。
なお、私はS2課題責任者という立場です。
超伝道磁石は東北大学理学部村上洋一氏の、
汎用2軸回折計、ハッチまわりや制御装置はPFの澤博氏と若林裕助氏の、それぞれ管理する物品です。
3Aへの移設に伴って変更した点は次のとおりです。 
  - 二軸回折計が常設
  
- Undulatorのgapの変更などエネルギー関係のフラグ_flg_gap_の定義が必要である
  
- 測定を中断したら、必ずreset_starsというコマンドを打つ必要がある
  
- 移相子が使える
現在、次のような不具合や不都合があります
- パルスモーターコントローラの1番、15番が使えない。(もしくは、2θA軸用のパルスモータードライバの不具合?)
パルスモーター励磁用にのみ使えます。
- モータードライバが1台足りないので、ttha軸が挿し替えなしに動かせない。
- 下流用のスリットの台が少し高すぎて、マクロslit2が途中で止まる。下流イオンチャンバーにX線が入らない場合がある
- アッテネータが片方向きにしか回らないので、アッテネータを厚くしようとしたときに素通りの位置(att=10)を通過する
- 100Kより高温側で、温度調節に長時間かかる
 手順の詳細 
  
    | 
      上流側に「上流スリット+イオンチャンバー+アッテネータ」の台をつける
      2θアームの上に「下流スリット+イオンチャンバー+CCDカメラ」の台をつける
      2θアームの上に「検光子+検出器装置」を取り付ける(図)
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現在は、上流側のHuberのパルスモーターコントローラとモータードライバを借りてSPECから動かしています。
- パルスモータードライバの電流値の設定を変える。
| 
パルスモータードライバの箱(2つ)を開けるパルスモータードライバのc.p. + -間に出ている電圧をテスターで見ながら、
RUNつまみを回す
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- パルスモータードライバの箱に、電流値の設定が二軸用になっていることを表示する
- モータードライバーケーブルの切り替えを行う
| PMCの番号 | 4軸での割り当て | 電流値 | pulse/deg,mm | 磁石回折計での割り当て | 電流値 | pulse/deg,mm |  
| 0 | tha (Theta A) | 1.9 A | 5000 | tha (Theta A) | 1.4 A | 5000 |  
| 1 | ttha (Two Theta A) | 1.9 A | 10000 | m01 (Mag Y) | 1.4 A | 714 (dead) |  
| 2 | phi (Phi) | 1.9 A | 500 | phi (Phi) | 2.8 A | 10000 |  
| 3 | chi (Chi) | 2.8 A | 1000 | chi (Chi) | 2.0 A | 100000 |  
| 5 | tth (Two Theta) | 2.8 A | 5000 | tth (Two Theta) | 2.8 A | 10000 |  
| 6 | y (Y) | 2.8 A | 2500 | y (Y) | 1.4 A | 715 |  
| 7 | z (Z) | 2.8 A | 20000 | z1 (Z1) | 1.4 A | 8000 |  
| 8 | ry (Ry) | 2.8 A | 75000 | magx (Mag X) | 1.4 A | 714 |  
| 9 | rz (Rz) | 2.8 A | 7500 | z2 (Z2) | 1.4 A | 8000 |  
| 10 | att (Atten) |  | 200 | att (Atten) |  | 200 |  
| 12 | s1l (Slit1 Left) |  | 4000 | s1l (Slit1 Left) |  | 4000 |  
| 13 | s1r (Slit1 Right) |  | 4000 | s1r (Slit1 Right) |  | 4000 |  
| 14 | s1t (Slit1 Top) |  | 4000 | s1t (Slit1 Top) |  | 4000 |  
| 16 | s2l (Slit2 Left) |  | 4000 | s2l (Slit2 Left) |  | 4000 |  
| 17 | s2r (Slit2 Right) |  | 4000 | s2r (Slit2 Right) |  | 4000 |  
| 18 | s2t (Slit2 Top) |  | 4000 | s2t (Slit2 Top) |  | 4000 |  
| 19 | s2b (Slit2 Bottom) |  | 4000 | s2b (Slit2 Bottom) |  | 4000 |  
| 20 | s1b (Slit1 Bottom) |  | 4000 | s1b (Slit1 Bottom) |  | 4000 |  
| 21 | th (Theta) | 2.8 A | 5000 | th (Theta) | 2.0 A | 10000 |  
 
- 
slit1x, slit1y, slit2x, slit2y, slit3x, slit3y, atten, thaのケーブルをそれぞれのコネクタに接続する
 
- perl でspecstars を動作させる。
 > perl /usr/local/lib/spec.d/specstars/specstars &
 このプロセス番号を控えておく(16A2と同じ)
- SPECを立ち上げる。
 > fourc (-f) | tee (-ai) filename
- 4軸側のモータの現在値をwaで取っておき、記録しておく。
- 表の色つきのものについて、configのモーター名、パルス数等を書き換える。
/usr/local/lib/spec.d/fourc/config.magnetというファイルを参照のこと。
- 
φ、χ、θ、2θ、magx, magyについて、モーターのSPEC上の現在位置を実際の位置とあわせる
(ただし、θと2θの原点はあとで再定義する)
- 
各モーターの動作を確認。
- 註1:11月初旬現在、tthaのパルスモーターコントローラが不調で、
パルスを送っていないようです。(現在の不具合にジャンプ)
この軸につながっているのはmagyですのでmagyを実際に動作させる場合はmagxかy軸と挿し替えて使ってください。
何もつながないと軽く押しても動いてしまうので、必ず励磁してください。
- 註2(φ軸の定義):magy軸の正方向がBL2番側、magx軸の正方向がビーム下流側へ動く位置をφ=0とします。
- 註3:θ、2θ、φ軸の動作方向はBL-4番側へ動くときを正にとっています。
- 註4:χ軸の動作方向の今の定義は、右手系と左手系にこだわる人にとっては逆かもしれません。4軸回折法にあまり詳しくないもので…
- 註5:架台制御モーターの動作方向:z1, z2について上が正、yは正方向がBL2番側
- 註6:スキャン時間を無駄にしないために、(スリット以外は)モーターのuser値を減らすときにバックラッシュを取るように、定義しておきましょう。
 
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準備
- 上流、下流ともスリットを全開にする。
- χ=0にする。
- magx, magy軸を、動作範囲の中央にする。(スケールがあります)
- 墨出し器を準備する
θ=0の定義
- 下流スリットの後ろにイオンチャンバーを設置する。
- リナグラフを使って、テーブルの中心の真上をビームが通るようにy軸をある程度調整する。
- 下流イオンチャンバーでy軸スキャンのプロファイルが測定できるように2θ軸を移動させる。
- chk_thresh=-1
 としておく
- 必要ならば、ここで上流イオンチャンバーも設置してシリコン二結晶分光器の角度ずれを補正しておく
コマンドはcheck
- θ軸の回転中心とビームを合わせるために、架台調整ブロックの最も広い面(写真の左側の面)が磁石台の中央を通って
χサークルに垂直になるように置く。
- chk_thresh= -1 とする。
- magy(φ=90ならばmagx)のスキャンをして、調整ブロックが半割の位置に来るようにする。
- 下流のイオンチャンバーのカウントを取りながらthスキャンを行ってピーク位置に
thを持っていく。ここでset th 0とする。(これがrzの代わり)
(ピークトップが尖らなかったら、もう一度調整ブロックの半割を行う)
架台調整ブロックの面をχサークルと平行においてθ=90と-90で同じスキャンを行って、その最大となるモーター位置をθ=90あるいは-90と定義してもよいはずです。
精度が出ると信じた方法でやってください。
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- φ=-90, 0, 90, 180のいずれかとする。
この位置が標準で使うφの値となる。
- 磁石の上のフック2つを使って磁石を吊り上げる
- 磁石のベリリウムの広い窓がBL-4側に向くように設置する
- 4本の六角穴つきボルトでしっかり固定する
- 液面計用BNC、Vaporizer温度計ケーブル、磁石電源コード、スイッチヒーターケーブル、磁石上部温度計ケーブルを接続する
- ハッチの外側に液面計、磁石電源、テスター(専用のものあり)、温度制御装置(cryo-con64)を設置する。
- 液面計にケーブルをつなぐ
- 磁石温度計ケーブルをテスターにつなぐ
- 磁石電源コードを磁石電源の裏側につなぐ
- VTの赤と黒を磁石電源裏側の15,16番に、PSの緑と白を17,18番にそれぞれつなぐ
- Vaporizer温度計とヒータを温度制御装置につなぐ。温度制御装置をGPIBケーブルでコンピュータにつなぐ
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- 液体窒素のベッセルを、できれば2つ用意する。
- ヘリウム注入ポートに、下側にオスねじの切ってある長いステンレスの冶具を入れて、ねじ込む。これによって、ここから入れる液体が磁石の下側に行くようになる
- 長いL字のステンレスパイプをヘリウム注入ポートの冶具に挿し込む。パイプの先にシリコンチューブをつける
註:乾燥窒素ガスがあれば、念のために数時間流して磁石の周りの水分を飛ばしておきましょう
- ニードルバルブを閉める
- ここで試料槽に架台y軸調節用の1mmスリットをつけた試料棒を入れておくと便利
- 試料槽の排気口に回転ポンプをつなぐ。途中にガス導入ポートをつけておくと便利。
- 試料槽に水分が残らないように、真空排気する(約5分)
- 排気をやめて、ガス導入ポートから試料槽へヘリウムガスを流す
- ニードルバルブを開ける。
- ヘリウムガス回収口とヘリウム注入ポートを交互に閉じて、どちらもブロックしていないことを確認する
- ニードルバルブを閉める
| 磁石の予冷(まだ手順は確定していません)
ヘリウムガス回収口を開放にする
ヘリウム注入ポートから液体ヘリウム槽に液体窒素を入れる。同時に液体窒素槽に液体窒素を入れる。圧力は0.04MPaくらい。液面計を表示させる
磁石の抵抗温度計の抵抗値をテスターで表示させる
窒素槽には表示が115%になるまで入る
窒素槽が満タンになったら、片側のポートに切れ目の入ったシリコンチューブをつなぎ、もう片側のポートには栓をする
磁石が液体窒素温度になったら、RuO2温度計は1025ohmとなる。ここまで1時間半くらい。
ヘリウム槽への注入をさらに30分くらい行う。これで容器の高さの7割まで汲める。
ヘリウム槽の注入ポートに挿し込んだ長いL字のステンレスパイプを引き上げてクリップ等で落ちないようにしておき、
それについたシリコンチューブの先に栓をする。
水分がヘリウム槽に入らないようにヘリウムガス回収口に逆止弁を取り付ける
一晩くらい置くほうが磁石が十分冷えて良い
(この間に、試料棒につけたスリットを用いた架台調整を行っておくと効率的)
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    | 高さの粗調整上流スリットの直後と下流スリットの直後のそれぞれにイオンチャンバーを入れて、高圧電源と信号を配線する。
          リナグラフでビーム高さを記録し、その位置にレーザーが来るように墨出し器の高さを合わせる。
          墨出し器(写真右側に写っているもの)のレーザーの高さに上流のイオンチャンバーの中心が来るようにz1を合わせる。
          墨出し器のレーザーの水平と磁石の窓の水平が合うようにだいたいz2を合わせる。
      
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y軸の調整
  - CCDカメラをセットし、その前に下流イオンチャンバーを移動させる。CCDカメラの前には適当な厚みのAl板をおく。
  
- 2θ軸を動かして、CCDカメラでX線が検出できるようにする
- 試料棒に1mmのスリットの入った真鍮の冶具を取り付ける
- 試料棒をサンプル槽へ入れる(ここまでは磁石予冷前にしておくとよい) 。スリット板をX線の進行方向と垂直にすること。
- yと平行な磁石の平行移動(magx あるいはmagy)のスキャンをして、
  ピーク中心にmagx あるいはmagyを移動させる
- θ、あるいはφを180度回転させる
- 先ほどと同じようにmagxあるいはmagy軸のスキャンをする
- magxあるいはmagy軸を2つの測定のピーク位置の平均位置まで移動させる。そこで、y軸を走査して、ピーク中心に移動させる。これでy軸の調整は終わり。
- θ、あるいはφをもとの位置に戻してmagxあるいはmagy軸のスキャンをして、ピーク中心がθ、あるいはφを反転させたときと一致することを確かめる。
念のため、yのダイヤル値を書いておく。
(この後yモーターを動かすことはないので、PMCが故障中のmagyと入れ替えておくとよい。
ダイヤル値の記録もしておいたほうがいいかも)前後への傾きの調整
  -   リナグラフを磁石の窓の後ろで感光させる。
  
- リナグラフを貼ったまま、θ、あるいはφを180度回転させる
  
  
- 再び感光させ、2つの感光跡の高さのずれを測定する
- 2つの位置が合うようにz2軸を調整する。磁石の窓の直径が32cm、z1モーターとz2モーターの距離が173cmなので、その倍率を使えばよい。
- 念のため、リナグラフを窓の後ろ側で一度、θを0度に戻して再度、それぞれ感光させて、感光位置がずれないことを確かめる。
- これでy軸周りの回転の調整は終わり。
高さの調整
  - 試料棒の先の冶具をスリットから1mmの穴の開いた冶具に付け替える
  
-  CCDカメラとイオンチャンバーでダイレクトビームを見れるように、イオンチャンバーをCCDの前に取り付け、2θを17度付近にする。
  
- z1とz2の同時スキャン
 d2scan z1 -3 3 z2 -3 3 30 1
 を行い、高さを合わせる。
- magx(またはmagy)をスキャンして、左右の位置を合わせる
  
- χを-3度から3度まで走査して、I1強度の変化をモニターする。
  
- 強度が変化するようであれば、試料棒の上部で穴の高さを変えて、手順3-5を繰り返す。
  
- χを動かしても穴の位置(すなわち強度)が変わらなくなれば、架台の高さz1, z2の調整は終了
z1、z2のダイヤル値を書いておく。この後、試料を見つけるためにスキャンをすると便利なことがあるが、最終的には試料の高さは試料棒の上で手であわせ、測定時はこのz1、z2の値で測定しなくてはならない。
上流四象限スリット調整
- スリットの現在の位置を見て、ハードリミットに当たらないようにSPEC上の値を定義しなおす。
- slit1というコマンドで、スリットを調整する(手動でもよい)
2θ軸の原点決め
検光子を使う場合は、検光子の回転中心をビームが通るように、2θ軸の原点を設定する必要がある
- 適当なアナライザ結晶を設置する。
- リナグラフ等を使ってtha=0, 180の付近のビーム半割がだいたい一致するように2θ軸を調整する。
正確には、アナライザ結晶を180度まわしても半割り位置が完全に一致するようにすればよい。
下流四象限スリット調整
- スリットの現在の位置を見て、ハードリミットに当たらないようにSPEC上の値を定義しなおす。
- slit2 というコマンドで下流スリットを調整する(手動でもよい)
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| 液体窒素追い出し
液体窒素槽の片方のポートにL字型の短いパイプを挿し込む
液体ヘリウム注入ポートに挿してあるるL字パイプからのシリコンチューブを窒素槽のL字パイプとつなぐ。
液体窒素槽のもう一方のポートから窒素ガスが放出できるようにする
ヘリウム注入ポートに挿してあるパイプを一番下まで挿し込む。
ヘリウム槽から液体窒素が勢いよく出てきて、窒素槽に入っていく。
液体窒素が出てこなくなったらヘリウムガス回収口の逆止弁をはずす。窒素ボンベとシリコンチューブで接続。
窒素ボンベによって、加圧する。
窒素槽がいっぱい(〜115%)になったら、窒素ボンベによる加圧をやめる。
液体ヘリウム注入ポートからのL字パイプの先のシリコンチューブを液体窒素容器へ伸ばす。
窒素ボンベによる加圧を再び始める。
液体窒素が出なくなったら、追い出し完了。
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ヘリウムガスによるフラッシュ
- ヘリウムガス回収ポートを油回転ポンプに接続する
- 液体ヘリウム注入ポートにヘリウムガスラインを接続する
- 液体ヘリウム槽を排気する。このとき、磁石の温度が液体窒素温度より下がったら、窒素が残っている可能性あり。
- ヘリウムガス置換する
- 上記を繰り返す
- 真空状態でニードルバルブを開けて試料槽の圧力が減少することを確かめる
- ヘリウム槽をヘリウムガスで満たしておく。このとき、試料槽の圧力が大気圧に戻ることを確認する
| 初回のヘリウム汲み入れ
液体ヘリウムベッセルとヘリウムガスボンベを用意する
トランスファーチューブを分離する
短いほうのトランスファーチューブにExtensionをつける
短いほうのトランスファーチューブを磁石にゆっくりと挿し入れる。このとき、空気が入らないようにヘリウムガスを流しておくとよい。
長いほうのトランスファーチューブをベッセルに挿してゆっくりと入れる。
接続可能な高さ関係になったら、ヘリウムベッセルのヘリウムガス回収口を閉めてヘリウムガスでフラッシュしながら
トランスファーチューブをつなぐ
液面計を随時読み出しモードに切り替える。
磁石のRuO2温度計の抵抗値を読む。1.3kohmになったら液体ヘリウム温度。(テスターで読むこと)
ヘリウムガスボンベでベッセルを加圧する。液体ヘリウムが溜まるまでは、加圧を控えめにする。
液体ヘリウムが入り始めたら、0.2から0.3MPa程度に加圧する
終わりが近づいたらヘリウムガスによる加圧を止める
汲み終わったらヘリウムベッセルのガス回収口を開けて圧力が下がるのを待つ。5分くらい。
ベッセル、ヘリウム槽の圧力がともに下がったら、トランスファーチューブを分離して、磁石側の口にゴム栓をし、ベッセル側のトランスファーチューブを抜く。
長いステンレス冶具ごと磁石側のトランスファーチューブをはずす。
トランスファーチューブをはずしたあとに短いステンレス冶具をはめて、冶具の上にしっかりと栓をする
ヘリウム液面計の読み出しモードを一時間毎のモードに戻す
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ヘリウムの注ぎ足し
実験内容にもよりますが、ヘリウムを満タンにしてから3日で50%になって注ぎ足しが必要となります
- 液体ヘリウムベッセルとヘリウムガスボンベを用意する
- トランスファーチューブを分離する
- 短いほうのトランスファーチューブには、Extensionをつけない
- 短いほうのトランスファーチューブを磁石にゆっくりと挿し入れる。このとき、空気が入らないようにヘリウムガスを流しておくとよい。
- 長いほうのトランスファーチューブをベッセルに挿してゆっくりと入れる。
- 接続可能な高さ関係になったら、ヘリウムベッセルのヘリウムガス回収口を閉めてヘリウムガスでフラッシュしながら
トランスファーチューブをつなぐ
- 液面計を随時読み出しモードに切り替える
- ヘリウムボンベでヘリウムベッセルを0.2から0.3MPa程度に加圧して、汲みいれる。50%から100%まで1時間弱。
- 終わりが近づいたらヘリウムガスによる加圧を止める
- 汲み終わったらヘリウムベッセルのガス回収口を開けて圧力が下がるのを待つ。5分くらい。
- ベッセル、ヘリウム槽の圧力がともに下がったら、トランスファーチューブを分離して、片側づつ抜いて、
しっかりと栓をする
- 液面計の読み出しモードを一時間毎のモードに戻す
窒素の注ぎ足し
- 毎朝行うのがよいと思います。115%まではあふれずに汲めます
このページのトップに戻る試料棒への試料の設置
試料のセットの仕方は試料形状や測定方法によって変化すると思いますが、
一例として写真を観てください。
薄いアルミの板を使うと、それを通ったビームが観測できて試料の位置合わせが楽に行えます。
低いエネルギーを使う場合はそれも難しいので、試料板の試料貼り付け部分の幅をあらかじめ試料の幅に合わせるとよい。
- 用意してある冶具の中心に試料をセットする。
- 磁場で試料に力がかかるので、飛ばないように工夫する
- 万一試料が飛んだときに、下に落ちないような工夫をする。
図の受け皿と筒がロッカーに入っています。これは図のように使います(松村さんに感謝)
- 試料の向きと、試料棒の一番上の部分につけた赤色の線の関係を記録する
- 試料棒の上部、右図の赤い線の付いた部分とその下の固定冶具の間隔を18-19ミリにする。試料がビームの高さとほぼ一致する。
 100K以上で小さな試料を測定するときは、試料棒の伸びが無視できないので、高さをあわせなおしてください。(可能ならば大きな試料を用意しましょう)
試料棒の挿入
- ニードルバルブを開ける
- 試料槽を排気するポンプのバルブを閉じる
- 試料槽が少しだけ加圧状態になる
- Vaporizerの温度を100K 以上にする(マニュアルには必要ないと書いていますが…)
- メクラフランジをとりはずす
- 試料棒をゆっくり入れる。途中で棒の白い部分があたるので、ゆっくりと通過させる
- NW40のカップリングを閉める
- 試料槽の排気とニードルバルブからのヘリウムガス導入を1,2回行う
試料のmagy方向のずれと高さの調整
以下の説明は、試料の測定面がφ=-90、θ=0のときにBL-4番の方向を向くように入れた場合の方法です。
φ=0、θ=0でその向きとなる場合は、magxとmagyの役割が入れ替わります。
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χ=0とする
θ軸を90あるいは-90とする
2θ軸をイオンチャンバーあるいはCCDでダイレクトビームが観測できる位置に持っていく。
CCDの前に適当な厚みのAlを置いておく(13keVで試料板Al1mmのとき、1mm)。
イオンチャンバーのカウント値とCCDの像をモニターしながら、magy軸をスキャンする
試料(場合によっては試料板)の吸収により試料がビーム位置を横切る場所がわかる(右図)
その位置にmagy軸を持っていき、set magy 0と再定義する。
万が一試料の高さがずれていれば、ここで調整しましょう。手で行います。
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magx方向の試料のずれの調整
- θ軸を0とする。
- magxスキャンによる半割とθスキャンによる平行出しを繰り返して、半割の位置を出す。
なお、θスキャンは-6度から6度くらいまでしかできません。
それより角度を振ると磁石のベリリウム窓からはずれてしまいます。試料棒を手で回して補正しましょう。
- magxの再定義は必要なくなりました
試料の位置(温度可変インサートの位置)は磁場によって動きます。
  動く量は低温で+8テスラのとき、広いベリリウム窓の方向に2ミリ程度です。150K等の高温ではほとんど動かないようです。
したがって、低温では試料の位置の微調整を磁場の値を変えるごとに行う必要があります。
    2θ=23度付近でCCDとイオンチェンバーでダイレクトビームがモニターできます。
  
    
 
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温度調節器(磁石専用:cryo-con62)の抵抗・温度対応表の確認
現在、試料棒は二つあります。片方には電圧導入端子がついています。温度計のシリアル番号は、次のとおりです。
- #37330: Vaporizer部の温度計
- #37620: 電圧導入端子のない試料棒の温度計
- #42858: 電圧導入端子のある試料棒の温度計
ニードル弁と排気バルブの調節
- ニードル弁を閉めて試料槽を排気する
- 排気ラインのバルブを閉める
- 圧力がゆっくり上がるようにニードル弁を少し開ける
- 圧力が1気圧になるまで待つ
- 排気バルブを少し開けて、圧力が0.8-0.9気圧くらいになるようにする。
- 5K以下の実験を行うときは、排気バルブをもっと開ける
#ヘリウム槽の蒸気回収口には、逆止弁をつけない。
(つけるとニードルバルブの調節が難しくなりヘリウム消費量が無駄に増えます)
温度調節器
低温では、Vaporizer側のヒーターを使ってVaporizerの温度を調整することで試料の温度を副次的に調整するという方法がよさそうです。
Vaporizerのヒーターだけで、試料棒の温度を誤差0.5K以下で制御することができるはずです。
高温では、試料板を取り付ける冶具を樹脂製のものにして、
Vaporizerの温度を信じると、あまり温度がずれないようです(若林情報)
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註1:私の使ったPIDのテーブルが cryo-con 62のPID Table No. 0 に入れてあります。
それほどがんばってPIDの値の調整をしていませんが、見た目には温度調整はできているようです。試料棒の上部に温度制御用のケーブルを挿す
温度調節器cryo-con 62を接続する
Vaporizerの温度が上に、試料棒の温度が下に表示されることを確認する
SPECとのやり取りは、_LTC_is_on_=1
デフォルトでは、Vaporizer側のヒーターがメインで、試料棒のヒーターはほとんど使わなくてよい
cryo-conのLoop1ボタンを押して、制御チャンネルの欄でA、制御方法の欄でTableを選択する(Table0のはずですが、いちおうそれも確認)
設定温度をここで入れるか、SPECから入れる
Homeボタンを押して通常の表示に戻る
Loop2ボタンを押して制御チャンネルの欄でB、制御方法の欄でOffを選択する
試料棒のヒーターをどうしても使いたいときは、制御方法の欄でPIDを選択する
Homeボタンを押して通常の表示に戻り、Controlボタンを押す。機械の左上のControlランプの点灯を確認する
 註2:温度を突然大きく変えると、たまにVaporizerの温度計が一瞬読めなくなり、Controlモードが自動的に解除されてしまいます。自動マクロ測定などのときに気をつけましょう。
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液面計で液体ヘリウムが50%以上であることを確認する
現在のマグネットの磁場の値まで、マグネット電源の電流の値(磁場換算して表示されている)を上げる。高速モードでよい
マグネット電源のモードをPauseにする(上あるいは下向きの矢印キーをもう一度押すとPauseになります)
スイッチヒーターをONにして30秒待つ
Limitの値を目標の磁場の値に書き換える(磁場を上げるときはupper limitを, 下げるときはlower limit を)
マグネット電源のモードを低速モードとする(上あるいは下向きの矢印キーを押す)。電流値が徐々にLimitに近づく
Limitの値になったら、マグネット電源のモードをPauseにする(矢印キーを再度押す)
スイッチヒーターをOffにして、30秒待つ。永久電流モードになる
マグネット電源のモードを高速Zeroとする
マグネット電源の表示がStanbyとなって、完全に永久電流モードとなる。
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シンチレーションカウンターを使うと、磁場によって検出器内部の電子の軌跡が曲がるため、パルスの波高が変わります。
対応策(下記のいずれかを選択)
- ミューメタル(ロッカーにあり)をカウンターの周りに巻く
- SiのSSDを使う(産総研所蔵のものがあり)。応答速度が10倍程度遅い(およそ20マイクロ秒)ので、数え落としに気をつけること。10000cpsくらいまでなら適当に補正できますが、10000cpsを超えるとカウント値そのものが落ちますので、
必ずオシロスコープも見ること。また、10000cpsを越えたらビープ音が鳴るようにしておくこと。
- APDなどを用いる(詳しくはビームライン担当者へ)
- CCDカメラを用いる(詳しくはビームライン担当者へ)
アテネータはリボルバー式です(奥山さんに感謝)。使う波長によって、つける円盤を替えましょう。
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